「役に立つか」で教養を測るようになったのは、いつからか——有用性という物差しの来歴
「役に立つか」で教養を測る物差しは、どこから来たのか。古代の自由学芸、19世紀のニューマン、1964年のベッカーの人的資本論、2015年の文科省通知と学術会議声明、ブルデューの批判までを出典付きで辿り、この物差しが何を測れるようにし、何を測れなくしたかを整理する。効用の是非は判定しない。
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「役に立つか」で教養を測る物差しは、どこから来たのか。古代の自由学芸、19世紀のニューマン、1964年のベッカーの人的資本論、2015年の文科省通知と学術会議声明、ブルデューの批判までを出典付きで辿り、この物差しが何を測れるようにし、何を測れなくしたかを整理する。効用の是非は判定しない。
民主主義の語源はギリシア語の demokratia。だがプラトンやアリストテレスの政体論では劣位に置かれ、18世紀のアメリカ建国者も democracy と republic を区別したとされる。評価がいつ反転し、誰もが名乗る語になったのかを一次資料で追う。是非は論じない。
「失われた30年」という言葉は、1980年代の中南米を指した表現の転用だとされる。1999年5月の日銀審議委員講演がその転用を同時代に記していた。語の来歴と、10年ずつ延びてきた経緯、そして「失われた」と言うとき何を測っているのかを、原典に戻って整理する。どちらの評価が正しいかは書かない。
「Z世代」と言うとき、何を説明したことになるのか。世代という区切りは1928年のマンハイムに遡る一方、2021年には社会科学者らの公開書簡が、2023年にはPew自身が使い方を見直した。年齢・時期・生まれ年が統計的に分けられない理由まで、擁護と懐疑の双方を一次資料に戻して整理する。
社会主義と共産主義の違いは「共産主義は社会主義の発展形」と説明されることが多い。だがこの名づけはマルクスの文章にはなく、1917年のレーニンによるものだとされる。1848年のエンゲルスから1920年の組織的分裂まで、二つの語がどの文書で分かれたのかを留保付きで辿る。